開幕まで2週間あまりと迫った東京オリンピック。
コロナウイルスによる全世界規模パンデミックの直撃を受け、観客の有無や人数を含む具体的な開催方法の多くが今なお検討中という異常事態になっているなか、待っていられない関係各所は一足先に準備を進めている。
多くの競技会場と隣接する東京港に関しても、東京都より荷主に対して荷揚港の変更や輸出入時期の変更などの要望が出されると同時に、開催期間中および前後の東京港のCYゲートオープンの延長やストックヤードの設置等の措置が発表されている。
その中でも特に注目したいのはゲートオープンの延長措置で、詳細は下記の通りとなっている。
ゲートオープン延長の期間 : 7月14日から9月8日まで(オリンピック開幕前~パラリンピック閉幕後)
1)7月14日~16日、8月24日~9月8日 : 朝7時半から18時まで
2) 7月19日~8月6日(オリンピック期間中) :朝7時半から翌朝4時
今回の延長措置は、日本初の深夜ゲートオープンとなる。
近年、東京港は混雑悪化とドレージ不足の常態化が深刻になっており、ゲートクローズ前には翌朝納品のコンテナピックアップにきたドレージが長蛇の列を成すのが当たり前の光景となっている。
負担に耐えかねたドライバーのドレージ離れを引き起こし、運賃の高騰や利便性の低下といった荷主負担の増大、ひいては東京港の価値低下を招いていた現状を鑑みると必要かつ妥当な措置だと思う。
とはいえ港湾の国際競争力強化のためにゲートオープン延長を含むリードタイム短縮を求める声は長年あったにも関わらず完全に停滞していた現実を考えると、重く錆びついた扉をこじ開けた関係各所の苦労は並大抵ではなかったはずで、価値ある大きな一歩だと思う。
ただそれでも世界及びアジアの主要港(釜山、高雄、香港等)においては20年前には既に24時間フルオープンとなっていることを考えると、今回の日本初の深夜ゲートオープンは残念ながら周回遅れ、どころか”時代遅れ”というのが現状だろう。
黒船来航から170年。
オリンピックというガイアツによる”第二の開港”を期間中だけの特別措置に留めることなく、ぜひ恒久的な制度整備に繋げるよう更なる努力に期待せずにはいられない。
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