昨日9月16日、中国がTPPへの正式参加申請を表明しました。
TPPは日本やカナダ、オーストラリア等を中心とする多国間貿易協定ですが、中国は複数の参加国と貿易摩擦を抱えており、また国営企業優遇や外国企業へのソースコード開示要求などTPPの基本理念にそぐわない政策を進めていることもあり、速やかに加盟が承認されるかは不透明な状況です。
しかし、もし加入が認められた場合の履物業界に対するインパクトは小さくないと思われます。
日本では産業界よりカントリーリスクを懸念したCHINA+1 の声が上がって久しく、実際に2014年頃をピークに中国の労働集約型産業の輸出額も頭打ちとなっているとのデータもあります。
しかし平均して120もの工程が必要になると言われる靴の生産は移転は容易ではなく、また多くの部材を必要とするため巨大な材料市場も抱え込んだ中国の優位はまだまだ揺らいでいません。
経産省のまとめによると、2018年の世界の履物輸出数は約147億足、中国はそのうちの95億足を占め、比率にして64%強、2位のベトナムの12億足、8%を引き離して圧倒的なシェアを誇っています。
国内に目を向けると、財務省の統計によると2020年の履物の輸入数は5億2000万足で、中国はそのうちの3億9000万足、比率にして75%を占めるという更に圧倒的な数字となります。
中でも中国の比率が高いと思われるのがケミカルシューズですが、一例として6404.19-290(甲が紡織用繊維のもの)を調べてみますと、2020年の国内総輸入数2億3,500万足のうち、1億9,900万足、実に84%が中国からの輸入となっていました。
そしてこちらの品目の現在の協定税率は8%ですが、TPP枠ですと5%、さらに今後も毎年0.7%程度漸減され、2028年4月1日より0%、関税フリーとなる予定です。
中国の思惑はTPP加入によってアジア諸国の中国依存を高め国際社会の包囲網に対抗することという見方もありますが、果たして狙いどおりに進むのでしょうか。
弊社はいかなる事態でも安定供給できるよう、中国のみならずアジア他国・地域にもネットワークを持っております。
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*参考資料
中国TPP加入正式申請(NHKニュース):https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210916/k10013263621000.html
TPPステージング表:https://www.customs.go.jp/kyotsu/kokusai/gaiyou/staging/tpp.pdf
履物産業を巡る最近の動向(経産省):https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/seikatsuseihin/hikaku/downloadfiles/footwear2020.pdf
財務省貿易統計:https://www.customs.go.jp/toukei/search/futsu1.htm
労働集約材貿易における脱中国の動き(国際貿易投資研究所):http://www.iti.or.jp/flash493.htm
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