
職場で用意したサンダルで転倒した従業員に損害賠償の支払いを認めた判決が確定しました。
職場サンダルで4人が転倒した「魔の階段」、地裁と高裁で「会社の責任」が割れたワケ
(Yahoo!ニュース)
簡単にポイントを整理します。
・事故現場は雨に濡れた屋外階段で、日常的に業務で往来していた。
・階段は建築基準法の基準を満たすもので、手すりや照明など構造的な安全性は確保できていた。
・階段には会社が用意したサンダルが備え付けてあったが、2,3足は底が摩耗しており滑りやすい状態だった。
・当該事故前にも同様の転倒事故が複数回起きていた。
以上の状況で、従業員の新たな転倒事故が起き、骨折。
会社の安全配慮義務違反が問えるかどうかが争点となり、一審では否定されたものの高裁判決では会社側の逆転敗訴となり320万円の支払いが確定したとのことです。
過失割合は会社6:本人4の判断とのことなので、本人にも相応の責任が認められているものの、雨風にさらされる外階段で使用するサンダルが摩耗していたことを含め会社の配慮不足が指摘された形かと思います。
今回はビル内の居酒屋とのことですが、同じように会社で従業員や来客用にサンダルやスリッパ等を用意しているケースは少なくないと思います。
しかしその安全性にどこまで配慮できているかといえば、実際のところほとんど気にしていない事業者様が大半ではないでしょうか?
近所のお店や通販で購入してきてなんとなく壊れたり汚れてきたら交換するといった程度で、安全性や底の摩耗まではなかなか気を回せないのが現実かと思います。
定期的なチェックや交換に代わる対策としては、そもそも最初から滑りづらいサンダルを選ぶという方法もあります。しかし問題は、どの底が滑りづらいのか見ただけでは中々分からないことです。
耐滑性に対する業界の指針も一応ありまして、安全靴を対象にしたJISおよびJSAAの付加的性能試験が定められています。
JIS基準(T8101)でF1は動摩擦係数0.20以上、F2は0.30以上の2段階での認証、JSAA基準では0.20以上となっているもので、動摩擦係数の測定は潤滑油を塗布したステンレス板上で行いますので濡れた路面に対しても有効な指針と言えると思います。
しかし、上述の通り対象は安全靴ですので一般の靴やサンダルは対象外で、今回のように安全靴を履くほどではない現場に対応できるような有効な指針はないのが現実です。
取りうる策としては…
実店舗で試し履きする
ネットの口コミやPOP、広告から情報を得る
古くから定評のあるカテゴリ、例えばギョサンですとか厨房用サンダルを選ぶ
くらいでしょうか。
試し履きは当然店舗の床となりますのでウェット路面でのグリップ力は確認できませんが、底のパターンを見ればある程度想像がつくのではないでしょうか。
口コミや広告は情報そのものに加え、情報源の信頼性にも留意する必要がありますね。
履物のカテゴリは、特に流行り物や新しい商品のそれは曖昧だし粗製乱造されている部分もありますが、確立した分野は信頼できると思います。商品による「当たり外れ」は避けがたいですが。
いずれもこれで万全というものではないですが、思わぬ転倒事故は本人のみならず周囲にも大きな二次被害を生む可能性がありますので、備品選びの際には頭の片隅に入れておきたいですね。
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弊社では商品の耐滑性、安全性には常に気を配っており、例えば取り扱いがある厨房シューズではJIS F1基準を大きく上回る0.41、ビジネスシューズでもJIS F2およびJSAA基準をクリアする0.22の耐滑性を確認しております。
滑らない靴やサンダルをお探しの際はどうぞお気軽にお問い合わせください!


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