前回、日本におけるビーチサンダルの別称について書かせていただきました。
ビーチサンダル
ビーサン
ゴム草履
島ぞうり
ゴムジョンジョン
水雪駄
個性豊かな色々な呼び方がありましたね。
しかし残念ながら、これらの呼称は全て世界ではほとんど通じません。
島ぞうりや水雪駄はまだしも「ビーチサンダル(Beach Sandals)」すら通じないんです。
では世界ではなんと呼ばれているのか?
早速見ていきましょう!
まずは アメリカ。
ビーチサンダルの起源という記事に書きましたが、アメリカは世界で初めてビーチサンダルを発売した国で、その商品名は「ビーチウォーク」でした。
そうしたらそのままビーチサンダル =「Beach Walk」として定着しても良さそうなものですが、どういうわけかそうはならず、現在一般名詞として定着しているのは
「Flip-flops(フリップフロップス)」
です。
ビーチサンダルやスリッパで歩くときの音が擬音が元になっているとのことです。
なるほど確かにビーサンを履いて歩くと、フリップ、フロップ、フリップ、フロップって音がする……かなぁ!?
猫や鶏の声なんもそうですが、同じ音でも世界中で擬音がバラバラなのは面白いですよね。言語の発声と相関関係がありそうですがどうなんでしょう。誰か調べている人いないかなぁ。
もちろんアメリカも広いのでFlip-flops以外にも色々呼び名はあって、例えばプラグで留める履物だから「Plugger(プラガー)」という呼び方などもあるみたいです。
続いてイギリスとオーストラリア、スイスなど。
これらの国では
「Thongs(トングス、ソングス)」
が主流のようです。
元々は”革紐”を意味する単語ですが転じて鼻緒タイプのサンダルのことも指すようになったそうです。
同じ英語圏なのに何故アメリカだけ違うのだろうと思って調べてみたら、アメリカでもthongsが革紐から転じてサンダルを意味するようになったのは同じですが、その後更に転じて紐のように細い女性用下着、日本で言う”Tバック”を意味するようになったようです。そのため誤用を避けるためにビーサンのことはFlip-flopsと呼んで区別するようになったんですね。これは賢明な判断だったと思います。
父「マイベイビー、誕生日おめでとう!可愛いThongsが欲しいって言ってたよね」
娘「ありがとうパパ大好き!開けていい?」
父「もちろんだよ、気に入ってもらえるといいんだが。HAHAHAHA!」
なんて流れで誤解があった日には目も当てられませんからね。
ロシアでは
「Vietnamki(ヴェトナムキ)」
ベトナム人女性の意らしいです。
いわゆるゴム草履とは違いますが、鼻緒サンダルを履いているイメージはありますね。
フィリピンでは
「tsinelas」
tsinelasはタガログ語で”スリッパ”の意で、他に「smeagol」という呼び方もするらしいです。
「smeagol」は密輸を意味する「smuggled」に由来するということらしいですが…、何故に密輸由来?
なおスリッパは本来SLIPPER、文字通りスリップして(滑らせて)履く履物の総称で、日本でいうところの「つっかけ」です。
いわゆるビーチサンダルとはイメージが異なるかもしれませんが、言葉は生き物なのでまぁ大体そんな感じ、とゆるく捉えておけばいいのかなと思います。
南アフリカとジンバブエでは
「Slops(スロップス)」または「visplakkies」
スロップスは船乗りに支給される衣服のことらしいので、そこから来たのではないかと思われます。
「visplakkies」はwikipediaで見つけたのですが、意味も読み方も分からない…。
誰か教えてください!
インドでは
「Hawaii Chappal(ハワイ・チャッパル)」
ハワイのスリッパ、という意味のようです。
初めて売り出されたのがハワイだと知っているのでしょうか。さすがグーグルCEOを生んだ国。知識が正確です。
まだまだあります!
日本人としては面白いのはここからでしょう。
まずマレーシアでは
「Japanese sandals」
日本人に海外で「ジャパニーズサンダル」と呼ばれている履物は何?とアンケートを取ったら下駄や雪駄、藁草履辺り挙がってくるのではないかと思いますが、マレーシアではビーチサンダルなんですね~
ニュージーランドでは
「JANDALS」
"Japanese sandals"の略らしいです。何でも略すのは日本人だけじゃないのね。
ポーランドでは
「JAPONKI(ヤポンキ)」
”日本人”という意味みたいです。誰が伝えたのか知りませんが、日本人ですら知らないビーチサンダルは日本生まれという事実がちゃんと伝わっているようです。MADE IN JAPANのイメージにあやかっただけの可能性も捨てきれませんが。
クロアチアとスロベニアでは
「JAPANKE(ヤパンケ)」
こちらも意味は日本人のことです。言語的に近いのでしょう。スペルも発音もポーランドに似ていますね。
そしてトルコでは
「TOKYO」
どういう顛末でそうなったのか不明ですが、ネーミングで”本場感”を出したかったのかなーと推測されます。中華料理屋に北京飯店とか、イタリアンにトスカーナとか、うどんで丸亀製麺とかご当地の都市名でブランディングを図るのは常套手段ですよね。
そして最後、ペルーとギリシャではなんと
「SAYONARA」
サヨナラです。
これは映画のタイトルから来ているようです。
1957年公開、マーロン・ブランド主演の日本人女性とアメリカ軍人のラブストーリーとのことですが、タイトルで早くも哀しい結末が見える…。
この映画でどのようにビーチサンダルが登場するのか残念ながら未見なので詳しいことは分からないのですが、公開年からしてビーサンが登場するにはちょっと早すぎる感じもしますし下駄や草履でも出てくるのかな?
機会があったら是非確かめてみたいと思います。
映画とサンダルが密接につながった例は日本でもあって、鼻緒サンダルのことをベンハーサンダルと呼んだり、ミュールのことをヘップサンダルと呼んだりします。前者は1959年公開の映画「ベン・ハー」で登場人物が履いていたサンダルに由来し、後者は1953年公開「ローマの休日」で主演のオードリー・ヘプバーンが履いていたことに由来します。
いずれも1950年代、当時の映画の影響力やその後の文化の移り変わりも感じさせますね。
以上、頑張って調べてみましたが主にネットを漁って調べた情報なので真偽不確かなものもあることをご了承ください。
この他にも面白い呼び名を知っているよ!とか、上記情報の誤りなどご存知でしたら遠慮なくご連絡いただけますと幸いです。
今年は長く暑い夏になりそうです。
皆様、ビーサン履いて夏を楽しんでください!
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世界の「ビーチサンダル」一覧
アメリカ「Flip-flops」
イギリス「Thongs」
ロシア「Vietnamki」
フィリピン「tsinelas」
南アフリカ「Slops」
インド「Hawaii Chappal」
マレーシア「JAPANESE SANDALS」
ニュージーランド「JANDALS」
ポーランド「JAPONKI」
クロアチア「JAPANKE」
トルコ「TOKYO」
ペルー「SAYONARA]
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